大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第三小法廷 昭和57年(ク)138号 決定

抗告人

金煕守

主文

本件抗告を却下する。

抗告費用は抗告人の負担とする。

理由

右抗告人は、売却許可決定に対する執行抗告却下決定に対する特別抗告申立書と題する書面を当裁判所に提出したが、右抗告却下決定に対しては民事執行法一〇条八項の規定により更に執行抗告をすることができるから、これに対し直接特別抗告の申立をすることは許されず、右の申立は、特別抗告としては不適法とするほかない。

また、これを民事執行法の前記規定による執行抗告の申立と解するとしても、右規定による執行抗告については同法一〇条二項の規定が適用されるから、抗告状を原裁判所でなく当裁判所に提出してした本件申立は、執行抗告としては、右規定に違反するものというべきである。そして、このように同法一〇条二項の規定に違反してした執行抗告については、その性質上、抗告状を受理した裁判所において、民訴法三〇条の規定を類推適用して事件を原裁判所に移送することなく、不適法な申立として却下すべきものと解するのが相当である。

右の次第であるから、本件抗告は結局不適法としてこれを却下し、抗告費用は抗告人に負担させることとし、主文のとおり決定する。

(木戸口久治 横井大三 伊藤正己 寺田治郎)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例